寒い時に丸くなる理由~工学的視点から考察~

今回は、寒くなった時に体を丸めたくなる理由について、工学(伝熱工学)的な視点から述べようと思います。
実は、すごく理にかなった行動なんです。まずは、「伝熱工学」とはなんぞや?と言うところから、述べて行きます。

伝熱工学とは?

高校生でも熱力学は物理の課程に入っているので、耳にしたことがある人は多いのではないかと思います。伝熱工学は完全に大学の範囲で、イメージとしては「熱力学」と「流体力学」を足して2で割ったイメージです。なので、扱う方程式とかは流体力学で習う方程式と似ている形式のものが多いです。
あくまで、扱っているパラメータが温度\(T\)とか熱伝導率\(k\)や熱伝達率\(\alpha\)とかになります。要するに流体力学では、空気や水の速度とか粘度に着目して、方程式を記述するのに対し、「伝熱工学」では、温度とか熱伝導率などの物性値になるだけです。流体の速度を\(u\)、粘性係数\(\nu\)として記述した境界層方程式を(1)、物質の温度を\(T\)、温度伝導率を\(\alpha\) として記述したエネルギー方程式を(2)として比較したものが以下です。

\begin{eqnarray}
u \frac{\partial u}{\partial x} + v \frac{\partial u}{\partial y} = \nu \frac{\partial^2 u}{\partial y} (1) \\
u \frac{\partial T}{\partial x} + v \frac{\partial T}{\partial y} = \alpha \frac{\partial^2 u}{\partial y} (2)
\end{eqnarray}

方程式からも、流体の速度分布と温度分布を比較することもできますね。実際に、プラントル数\(P_{r} = \frac{\nu}{\alpha}\)で定義されている無次元量が使われています。プラントル数\(P_{r} = 1 \)の時は速度分布と温度分布が一致することを示しています。

実際、大学の機械工学科などのカリキュラムでは、流体力学や熱力学を学習→伝熱工学と言う流れになっていることが多いです。なので大学生のはじめの方では学習しない分野です笑。以上に示した通り伝熱工学(伝熱学)は物質の熱エネルギーの伝達量について、追求する学問です。


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なぜ寒くなると、体を丸めるのか?

これを説明するには、ある一つの式を考えなくてはなりません。その前に記号の定義から。伝熱工学では単位時間あたりの熱エネルギー量=熱流量を\(\dot{Q}[\mathrm{\frac{J}{s}}=\mathrm{W}]\)として定義します。
熱伝達率を\(\alpha\), 温度差を\(\Delta T\), 伝熱面積\(S\)とします。温度差とは我々の体温と外気との温度差、伝熱面積とは人間が外気い触れている面積(表面積)です。そうすると熱流量は以下の式で表現されます。

\begin{eqnarray}
\dot{Q} = \alpha \Delta T S
\end{eqnarray}

そして、熱伝達率\(\alpha\)は物質の固有の値であり、\(\Delta T\)は外気と人間の体温との差なので、変えることができません。そして我々が変えることができるのは、面積です。なので当然、面積(\(S\))を小さくすれば熱流量も小さくなるわけです。すごいのは、人間が体温を下げまいとして本能的にそれをやっているところです。小学生が「伝熱工学的にどうのこうの…」とか言ってたら、さすがにひきます笑。

ついでに、服を着ると言う作業も伝熱工学的に言えば、熱通過率を下げることになるので、体温が外に逃げるのを防ぐわけです(当たり前ですが)。熱通過率は、服の素材の熱伝導率、素材の厚さがわかればそれほど導出は難しくありません。以下に図を示します。

以上に述べた通り、熱流量(外への熱のエネルギー流量)は物質の表面積に依存します。車やバイクのラジエーターには、この性質が用いられています。これらの表面がギザギザなのは、同じ体積(限られたスペース)で、より多くの熱を外へ逃がさなければいけないので、表面積を増やすためにあの様な形状になっているわけです。

ラジエーター (参考URL http://www.autobacs.com/static_html/info/contents/8-08.html?__frame)



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投稿者:

中村 俊

中村 俊

1993/09/04生まれ。機械系大学院を休学し、ベンチャーでインターンしている最中。直近では、デカルトの「方法序説」に感銘を受けた。 趣味:読書、web開発の勉強、異分野の論文読んだり、記事書いたり。 最終的には経営者か研究者になりたい。

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