Aurora -オーロラ、惑星を守る鉄壁の物理学-

方位磁針の原理の復習

方位磁針は、昔の中国に使われていた指南魚と呼ばれるものが原型になったとされています。棒磁石を魚の形をした木に埋め込んで、それを水に浮かべて、南の方向を調べていたようです。それから改良が進み、ヨーロッパの大航海時代の幕開けに大貢献しました。

歴史の話はここまでにして、では方位磁針はどのような原理でできているのでしょうか。この装置の中に入っている磁石は地球上の大部分の場所で、ちゃんと北と南を示すことができます。どんなに振動を加えて針を揺らすイジワルをしても、しばらくすれば必ずと言っていいほど同じ方向を指し示すでしょう。
磁石が向きを変えるということは、磁石に力が働いているということ。つまり地球上に張り巡らされている『正体不明の磁力線』に反応して、方位磁針は決まった方向を向くようにできているのです。

地球が持つ磁力線(緑矢印)と地球表面上で方位磁針を使ったときの様子。

母なる地球は超巨大電磁石?

結論からいうと、その正体不明の磁力線とやらは、地球が自分の中で作り出したものです。我々が立っている地球表面は固い地面に覆われていますが、実は地球の内部にはマントルと呼ばれる液体がドロドロと流れているとされています。
そのドロドロのマントルが動き回ると、電気が発生し、それが地磁気(地球の磁界)のもととなっているのです。このメカニズムはもっともらしく地磁気を説明しているように思いますが、まだまだ未解明なことも多い分野です。なにせ地球のなかを掘り進んで調べるわけにもいきませんからね。

左が太陽のある方向。地磁気(緑線)が太陽からやってくる太陽風(ピンク矢印)とぶつかることで、
地球を守っている。しかし、一部の太陽風は地磁気に沿って、地球のすぐ近くまで侵入してしまう(オレンジ矢印)



スポンサードリンク

オーロラの物理学、太陽の脅威に対抗する地磁気

太陽は朝になれば地平線から昇り、夜になればまた地平線へと沈んでいきます。それだけ身近に存在するものですが、かなりの暴れん坊さんなのはご存知でしょうか。なにせ1億5千万kmも離れたところから、我々の住む地球に強烈な光をぶつけてくるようなやつです、人間の手に負える代物ではありません。それだけではありません。太陽は『太陽風』と呼ばれる、電気を帯びた超音速の風を常に周囲に撒き散らしています。
そんな脅威にさらされて地球は大丈夫なのでしょうか。そこで登場するのが地磁気です。電気を帯びた風は下図のように、地磁気と接触して地球から逸れていきます。
地球が地磁気を持っていなければ、地球は太陽風にやられて、人類など到底存在することはなかったでしょう。

これで太陽風の脅威からは逃れることができた…と思った方、上図をよく見てください。実は北極付近と南極付近に、地磁気バリアのない侵入ルートがあるではないですか。これでは地磁気という壁にぶつかって、速度を落とした太陽風のザコが、壁に沿って入ってきてしまいますね。

オーロラの物理学、電気を帯びた風に対抗する地球大気

地磁気にぶつかって失速したとはいえ、電気を帯びて太陽から飛来した風です。これだけでも地球に生命は誕生できません。そこで出てくるのが、我々が常日頃から生命維持活動に使っている地球の空気です。宇宙空間からやってくる電気を帯びた風と、地球の空気がぶつかります。すると空気がこの風の速度をクッションのように吸収します。これで太陽風はただの風になりました。では吸収した分の速度(運動エネルギー)はどうなるのか…これがオーロラの正体。貯め込まれたエネルギーを光という形に変えて、エネルギーを放出し、完全に無害なものするのです。北極・南極付近から侵入してくる太陽風を地球大気が受け止めて発光するのです。オーロラが北極と南極付近に現れるのはこのためです。

左から順に、太陽から来た粒子と大気粒子との反応の様子。

地球以外のオーロラ

これまでの話をまとめると、オーロラが出現する条件は1. 地球のように惑星が巨大磁石になっていること、2. 電気を帯びた風とぶつかるための大気が(少しでもいいから)存在すること、です。そんな惑星あるのでしょうか、ありますとも。下図は木星と土星のオーロラの様子です。ハッブル宇宙望遠鏡がその姿を捉えています(画像はハッブル宇宙望遠鏡公式ウェブサイト,http://www.hubblesite.orgより引用しました)。

左が木星のオーロラ、右が土星のオーロラ。



スポンサードリンク

記事が役に立ったらシェア!

投稿者:

中村 俊

中村 俊

1993/09/04生まれ。機械系大学院を休学し、ベンチャーでインターンしている最中。直近では、デカルトの「方法序説」に感銘を受けた。 趣味:読書、web開発の勉強、異分野の論文読んだり、記事書いたり。 最終的には経営者か研究者になりたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA