今回はピタゴラスの定理の証明を書こうと思います。「タレスの定理」や「完全数」の記事も書いてきた通り、古代ギリシャ人の発想力の素晴らしさ、そして現代科学はこれら先人たちの知恵の上に成り立っているものだということを感じていただけたらと思います。
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では証明。
以下の図形を考えます。左の三角形と、その三角形と正方形を組み合わせたできた、さらに大きな正方形。
右側の、組みわせて出来た正方形の面積は、正方形の面積の公式を用いれば、
\begin{eqnarray}
S = (x + y) \times (x + y) = (x + y)^2
\end{eqnarray}
となります。そしてこの大きい正方形の面積は、(ピンクの正方形)+4\( \times\) 緑の直角三角形と言い換えることができるので、
\begin{eqnarray}
S = z^2 + 4 \times (\frac{1}{2} x \times y)
\end{eqnarray}
とも表せます。上の二つの式は同じになるので
\begin{eqnarray}
&&(x + y)^2 = z^2 + 4 \times (\frac{1}{2} x \times y) \\
&\Leftrightarrow& x^2 + y^2 + 2xy = z^2 + 2xy\\
&\Leftrightarrow& x^2 + y^2 = z^2
\end{eqnarray}
となり、これがピタゴラスの定理です。三平方の定理とも言いますが、私は発見者の名前で呼ぶのが好きなのでピタゴラスの定理と呼んでいます。もちろん、この定理はどんな直角三角形に対しても成り立ちます。x、y、zの値が何であろうとも関係ありません。
なぜ「ピタゴラスの定理」が歴史的にみて、最大級の快挙と言われるのか?
このピタゴラスの定理の証明は2重の意味で重要であったとされています。一つには、これにより、証明の概念が生み出されたことです。哲学者タレスはすでに素朴な問題を幾何学的には証明をしていたのですが、論理を一歩一歩積み上げて得られるという意味では、革新的であったようです。もう一つは抽象的な数学の方法を具体的なものと結びつけたことにあります。これにより数学的真理が科学の世界にも応用できることを示し、科学に論理的な基礎を与えたとされています。
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