世界一わかりやすいエントロピーの考え方



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今回は、多くの理工系学生を悩ます「エントロピー」について、書こうと思います。

このサイトの趣旨でもあるのですが、ここでは数式については触れません。教科書や他のサイトを見れば書いてありますからね。

あくまで、これを読んだ後に数式を理解する、イメージしやすくするための「概念」の説明をしていきます。

この概念が何かわかっていないと、理解しづらくなりますし公式だけ覚えたところで、使い所が不明のままになってしまいますのでね。

少し長文になりますが、読み終える頃には、友達にドヤ顔で説明できるようになっているはずです。

変数(エントロピー)の導入

物体を熱力学的に扱うのに温度、体積、圧力、内部エネルギー、エンタルピーなどを扱いますが、これらの変数だけでは論じることができない現象があるということをまず説明します。

以下の図を考えます。

器の半分に理想気体を満たし、他の半分は真空にしてある状態を考えます。

真ん中の仕切りの穴を開ければ、(b)のように気体は容器全体を一様に満たして、平衡状態になります。

ここで、注意して欲しいのは(b)の状態を放置しても(a)の状態にはならないということです(不可逆過程)。

(a)と(b)を比べるのに、温度も内部エネルギーも等しいです。体積は違います。

だとすると、「体積の違い」が(a)→(b)の移行の原因になっていると考えられます。

すなわち、気体には体積が大きくなろうとする傾向があると言い換えることができますね。

他の例を示します。以下の図を考えます。

(a)は二つの金属魂が初め異なる温度(θ1とθ2、θ1>θ2)にあり、接触すると(b)のようにθの温度になって、熱平衡に達するとします。

この時エネルギーが熱の形で、左半分から右半分には流れたことになりますが、この傾向はどう言い表したらよいでしょうか?

なお、「熱は温度の高いところから低いところに流れる傾向にあり、その逆には流れない」というのは経験則から確かであるとします。

その上で、以上の二つの例の共通な部分は一体なんでしょう?

もし共通なところがあるならば、各々違う表現で言い表されるよりも、もっと共通な言い方がないものであろうか。

ここで、もう一つ例を考えます。以下の図を考えます。

一つ目の例と似ていますが、(a)のように中央で仕切りされた、容器の左右の部分に種類の違う気体AとBを入れ、その温度、圧力を等しくしておきます。

中央の壁を取り去るか、この壁に穴を開けると、両方の気体が次第に混合した後、一様にまじって変化が止まります((b)の状態)。

この時は、各々の気体が別々にその体積を増加しようとする傾向を持つ結果、このようにまじりあうと考えられます。


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分子論の立場で考える。

上述した現象を分子論の立場で考えます。

一つ目の例の場合、(a)で中央の壁を取り去る前には気体分子は容器の左半分の中だけにあり、右半分には来られないという規則に従っていると考えられます。

中央の壁を取り去ったあと、(または穴を開けたあと)はこの規則がなくなるので、(b)のようにどちらの半分にも任意に存在するため、結局全体積を一様に満たすようになると考えられます。

(a)と(b)を比べると、(a)の方が秩序があり、(b)の方が無秩序と言えます。

これは3つ目の例を考えるとわかりやすいですね。(a)では左半分にA種の気体分子、右半分にB種の気体分子が別々に別れていたのが、(b)ではこれらが入り乱れて混合していますね。

この例からも (a)は秩序にある状態、(b)は無秩序の状態と考えられますね。

次に二つ目の例をまた考えます。高温の物体と、低温の物体を接触させる場合を考えます。

分子論の立場からいうと、(a)の状態から始めて、エネルギーが分子の間でやりとりされるうちに次第に一様な分布になると考えられます。

この場合も(a)の状態でエネルギーの分布について比較的に秩序のある状態にあり、(b)の状態は(a)よりも無秩序の状態にあると言って良いですね。


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結論

以上のように分子論的に考えると、上の三つの例に共通に言えることは多くの分子から成り立っている体系は秩序正しい状態から無秩序の状態に移ろうとする傾向を示していることですね。

 

そして、熱力学において上に述べたような現象進行の方向を決めるために、分子論の秩序、無秩序の考え方に相当するような、状態量がエントロピーです。

 

「分子論」の秩序状態から無秩序状態への移行ということは非常に自然で、原始的な考え方と言えます。

逆に、これに相当する「熱力学」のエントロピーの考え方はそんなに原始的ではなく、比較的長く、冗長な理論的研究の末に表れてきます(詳細は熱力学の教科書に書いてあります)。そしてこの理論が熱力学第二法則です。

 

最後に

以上「エントロピー」の概念について説明していきました。要は秩序の有無の状態量ですね。順を追って説明すればそんなに難しい概念ではないことに気づいてくれたと思います。ぜひ友達に自慢してみてください。


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投稿者:

中村 俊

中村 俊

1993/09/04生まれ。機械系大学院を休学し、ベンチャーでインターンしている最中。直近では、デカルトの「方法序説」に感銘を受けた。 趣味:読書、web開発の勉強、異分野の論文読んだり、記事書いたり。 最終的には経営者か研究者になりたい。

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