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大前研一さんの「武器としての経済学」という本を読みしました。
目についたからたまたま手にとりました。
内容は予想通りでした。今後の日本経済について悲観的な視点で大前さんのなりの考察が書かれています。経済学というか今後の日本経済についてです。
特に印象に残ったのが以下の2点
- 日本の年金について
- 国内自動車産業の今後の動向について
です。なんで印象に残ったのかというと
上の2点については自分も常日頃懸念していて、同じ日本に住む一国民として、機械系の大学院生として、常にアンテナを張っているからです。
僕自身、上記2点の今後についてはマイナスイメージしかないです。
年金や人口問題を本気で解決しようと思ったら直近の経済財政が例え悪化しても長期的な政策をするしか今の日本にはのこされていませんが、残念ながらアベノミクスに思い切って長期的な視点で対策をするような環境はない。
この本を読む限り、大前さんも同じような考えでありました。
1980年代にレーガン大統領は40年後を見据えて、経済政策を実施。それのおかげでアメリカは現在の日本のような状況を免れています。
カリフォルニア州は移民を受け入れる代わりに、移民に多めの税金を支払わせることで年金をまかなっています。
日本ももう少し早めに政策を実施するべきでしたが、もはや遅すぎです。
日本にとって移民は歴史的、文化的にボトルネックが多い。
となると、日本に残されている手段は、年金受給年齢の引き上げと、退職年齢の引き上げが一番現実的です。
もはや定年60、寿命80のライフスタイルは崩れている。
これからは定年75寿命90の時代なのだと。
にも関わらず日本政府は、真実をブラックボックス化し国民を偽り、さも大丈夫かのように振る舞う。
まるで、第二次世界大戦でずっと日本が勝っていると国民に嘘をついていて、負ける直前に罪を認めた当時の政府のように。
それと同じことを政府は今もやっている。このまま続ければ、いつしか国民を裏切るだろうということは予想できる。
というようなことを大前研一さんは述べています。
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自動車産業については、主に「電気自動車へのシフトが引き起こす問題について」述べています。
ニュースでも頻繁に報じられていますが、日本の自動車業界は世界的に見てEVへの転換が遅れていることは確かです。
MATSUDAなんかはEVへの転換はそううまくは進まないと考えており、ガソリンエンジンの開発に相変わらず熱を注いでいますね。これはこれで政策的にはありだと思います。
最終的にEVへの移行がどうなるかは不明ですが、今のところ出遅れているのは確かです。
僕自身、EVへの移行は自動運転と同じでインフラなどの問題もあるので今後10年20年で急激に移行するということはないと考えています。
ですが、もっと長期的なスパンで考えた時にガソリン車とEVの市場におけるシェアが今と全く別物になるのは確かです。それがどれくらいに先になるかというのは予想しづらいところではあります。
そう考えると、今後10年20年は問題ないように見えますが、電気自動車が主流になる社会が近づくにつれ衰退するのは目に見えているわけです。
EVはガソリン車に比べると部品数が10分の1で済むらしいです。トヨタの生産効率をあげる看板方式は、トヨタ自動車を頂点にし、完全なピラミッド構造になっているから成り立っているもの。ということは単純に考えてトヨタが発注する部品数が10分の1になれば、そのピラミッドに所属する全ての会社の受注数なり売り上げなりが10分の1程度になると、大前研一さんは考えています。
もし日本経済を支えている自動車産業がそんなことになれば、日本は大きなダメージを食らうことは確かです。
これはあくまでモデル化した考えなので、そう単純には行かないと思いますが、やはり時間の問題でガソリン車メーカーとしてやってきた以上、衰退は免れないのではないでしょうか。
大前研一さんが、以上の2点を見ただけでも本書の中でかなり日本の今後について悲観的だというのがわかると思います。
確かに30年以上先を見据えるというのは、人間の日常的な時間からイメージしづらいところではありますが、目をつぶらずに向き合うことで見えてくる、出てくる考えもあると思います。
大企業の経営者や政治家などには是非とも「未来に有意義な選択」をして欲しいですね。