シュレディンガーの猫

光の不合理性

前の記事で光の二重性について述べました。光は波であると同時に、粒子でもあると。これは明らかな事実なのですが、「なんか矛盾してない?」って思った人がアインシュタインが生きていた頃と同時期にいました。それがシュレディンガーです。

二重スリット実験によると、あたかも単一の粒子が両方のスリットを通過したように干渉模様がスクリーンに映し出されます。シュレディンガーはこの明らかな不合理性を証明するために、のちに「シュレディンガーの猫」として知られる、なんとも狡猾な思考実験を考案したのです。

シュレディンガーの猫

以下に「シュレディンガーの猫」の思考実験の概要を述べます。

1、鍵のかかる箱の中に猫、毒の小瓶(青酸カリとか)、ガイガーカウンター、瓶をわる装置を入れる。

2、毒の小瓶(青酸カリとか)、ガイガーカウンター、瓶をわる装置のこれらは、量子過程と連動している。

3、放射性原子が崩壊すると、カウンターがそれを検知し、瓶を割る装置が作動し毒の小瓶は割れて、猫は死ぬ。

4、原子が放射性崩壊を起こさなければ、猫は生きている。この時、放射性崩壊が起きる確率は50%、猫は毒以外では死なないと仮定する(寿命がきてたまたま死ぬとかは考えない)。

5、放射性崩壊の確率は50%なので、猫が生きている確率は50%、死んでいる確率も50%である。

以上が概要ですが、この思考実験で重要なことは、最後の「猫が生きている確率は50%、死んでいる確率も50%である。」というところ。ここをうまく表現できれば、ガイガーカウンターとか、毒ビンとか、瓶をわるための装置とかで、どうでもいいんですよ。要は、原子崩壊する?しない?→猫は生きている?生きてない?っていうのが表現できればね。

それをわかりやすく表現するために(光子の不合理性を表現するために)わざわざリアリティのある言い方になっているのです。



スポンサードリンク

我々人間が立ち入れない領域なんですよ。

で、これがなんで光の不合理性の説明になっているのかを述べます。

考えるのは確率なんです。蓋を開けて(目で確認する)まで、我々は「猫が生きているか、死んでいるか」わからないですよね?言い換えると、「猫が死んでいるのと生きているのが重なった状態」です。我々は「生きている」or「死んでいる」という状態ははっきり確認できますが、この二つの状態が重なった状態は確認できませんね。こういうことが光の二重性を含む、量子論では日常茶飯事だということです。

「我々が蓋を開けて目で確認した時の状態」と「我々が蓋を開ける前の状態」では、観察結果が違うのです。

は?って思った人、もう少しお付き合いください。

開ける前にすでに死んでいるかもしれない→開けてみたらやっぱり死んでた だったら、結局同じじゃんて。

「開ける前にすでに死んでいるかもしれない」。なんで「かもしれない」という言葉を使うのか…確率としてありえるからですよね?逆に「生きているかもしれない」→開けてみたらやっぱり死んでた もありえます。

この可能性を含んだ「かもしれない」状態を含んで、観察結果同じじゃんとはならないですよね。

だって開ける前には二択なのに、我々が目で確認した途端、可能性が消え、状態が決定されるなんて、我々は神かなんかですか?と。

この矛盾をなくすためにはやはり、開ける前に「猫が死んでいるのと生きているのが重なった状態」という概念を取り入れて論じるしかないということなのです。そうすれば、蓋を開ける前に状態は決まっているというのが言えますよね。

これがシュレディンガーの猫です。

似たような例

なんでこんな不合理なことが起こるのかというと、それは人間が目で見たことしか判断できないからです。

「物をみる(物がある)」とは、正確には、物を構成している原子に光があたり、その反射を我々が目でみて、その映像を脳が受け取り、これは「物である」と判断しているわけです。

じゃあ、我々の脳が認識しなかったら、物がないってことになるじゃないですか。本当はそこに物があるのに、何かしらの理由で上記の行程(物を構成している原子に光があたり、その反射を我々が目でみて、その映像を脳が受け取り、これは「物である」と判断している行程)がシャットダウンしたら、それでも物がないというのか?

「物がそこにある」って一体何よってことです。

シュレディンガーの猫で言うなれば、量子的な立場から言えば「生きている」「死んでいる」って一体なによ?ってことです。

一歩間違えれば、哲学の領域に踏み込む「量子論」。それは人間が観測できない状態を「状態」として定義しなければ先へ進まないところからきているのでしょう。この記事から科学と哲学は実は根底では繋がっているということを認識してもらえればと思います。



スポンサードリンク

記事が役に立ったらシェア!

粒子と波動の二重性(量子論)



スポンサードリンク

今回は、光の二重性について述べようと思います。まずは「光」とは何か?そこから述べようと思います。

アインシュタインの光量子仮説

光は1905年にアインシュタインが光量子仮説の論文でノーベル賞を受賞するまで、波として振る舞うと思われていました。しかしアインシュタインは、「光は粒(粒子)としても振る舞う」と仮定し、光電効果を証明しました。

光電効果とは、金属に光が当たったときに、電子を外へ放出(叩き出す)現象。「波」では、固体から電子が放出される理由を証明できなかったのですが、さすがアインシュタインです。

ならば、逆はどうか?

波→粒子の証明はうまくいったけど、「粒子は波として振る舞うのか?」と言う疑問は残ったままです。

しかしこの疑問も、ある有名な実験で証明されました。それは「二重スリット実験」です。
以下に実験の概要図を示します。

光源から放たれた光は、平行スリットを通って、干渉しあうので、明暗の干渉模様がスクリーン上に映し出されます。

ここで光を弱めて光子が一つだけ、平行スリットの間を通過するようにします。放たれた光子はどちらか一方のスリットを通過するので、干渉模様が消えると考えられます。

けど、現実は甘くなかった。

単一の光子はスクリーン上に一点映し出されるのですが、何度も放射し、点の位置を記録すると、スクリーンには光を弱める前(上述した干渉模様を作った時)と同様、干渉模様が表れる。

「粒」だけじゃ物足らず、「波」としても振る舞いたいんじゃ!というのを実験的に証明したのが二重スリット実験であり、これのおかげで光は「粒としても波としても同時に振る舞う」ということが証明されました。



スポンサードリンク

記事が役に立ったらシェア!

どうすればブラックホールは観測できる?

光すら逃げられないブラックホール、どうやって撮影する?

以前の記事で、ブラックホールは光すら逃げ出すことができないため人が観測することはできない、と説明しました。そんなブラックホールをどうやって撮影したと言うのでしょうか。答えは簡単、ブラックホールが光すら逃げられないのなら、周りの光を飲み込んでその部分だけ文字通り『黒い穴』になっているはずです。

左図: 明るい領域だけある場合
右図: 明るい領域のなかにブラックホールがある場合



スポンサードリンク

地球サイズの超高性能カメラ(EHT)

以前紹介したように、ブラックホールの大きさはとても小さいです(太陽の質量のブラックホールが東京上野間ぐらいの半径)。花粉症に悩まされている人でも、春の季節に飛び回る小さな花粉の粒子その一粒一粒を見分けることはできないでしょう。実際に花粉を見たいのであれば、学校に置いてある顕微鏡を使う必要がありますね。ブラックホールも同じ、それを見つけるためにはそれにふさわしいテクノロジーを用いた、顕微鏡ならぬ望遠鏡という超高性能カメラが必要なのです。どのくらいの性能の望遠鏡が必要かと言うと…ざっと月に置いた1円玉を地球から見つけることができるくらいの性能です。『そんなことが今の人類に可能なのか?』と思う方もいるでしょう。実は世界中の人が手を取り合うことで、それが可能となりました

この地図には望遠鏡の位置がマークしてあります。これらの望遠鏡一つ一つを使っただけではブラックホールは見えません。しかしこれらの望遠鏡が国境を越えて、それぞれの観測の弱点を補うことによって、まるで地球サイズの口径をもった望遠鏡の性能へ進化することができるのです。

ブラックホールに手が届く日は、もうすぐそこに!

日本時間の2017年4月5日にいよいよこの大望遠鏡を使ったブラックホールの撮影がスタートしたと、国立天文台から発表がありました。天気にも恵まれて、良い観測ができたようです。今回の標的はSgr A*(サジタリウス・エー・スター、射手座の方向にあるA*という天体)です。射手座の方向は、我々の住む天の川銀河の中心方向であり、そこには超巨大ブラックホール(Super Massive Black Hole, SMBH)があります。『ブラックホールの撮影に成功』という見出しが新聞の一面を飾る日も近いでしょう。



スポンサードリンク

記事が役に立ったらシェア!

Aurora -オーロラ、惑星を守る鉄壁の物理学-

方位磁針の原理の復習

方位磁針は、昔の中国に使われていた指南魚と呼ばれるものが原型になったとされています。棒磁石を魚の形をした木に埋め込んで、それを水に浮かべて、南の方向を調べていたようです。それから改良が進み、ヨーロッパの大航海時代の幕開けに大貢献しました。

歴史の話はここまでにして、では方位磁針はどのような原理でできているのでしょうか。この装置の中に入っている磁石は地球上の大部分の場所で、ちゃんと北と南を示すことができます。どんなに振動を加えて針を揺らすイジワルをしても、しばらくすれば必ずと言っていいほど同じ方向を指し示すでしょう。
磁石が向きを変えるということは、磁石に力が働いているということ。つまり地球上に張り巡らされている『正体不明の磁力線』に反応して、方位磁針は決まった方向を向くようにできているのです。

地球が持つ磁力線(緑矢印)と地球表面上で方位磁針を使ったときの様子。

母なる地球は超巨大電磁石?

結論からいうと、その正体不明の磁力線とやらは、地球が自分の中で作り出したものです。我々が立っている地球表面は固い地面に覆われていますが、実は地球の内部にはマントルと呼ばれる液体がドロドロと流れているとされています。
そのドロドロのマントルが動き回ると、電気が発生し、それが地磁気(地球の磁界)のもととなっているのです。このメカニズムはもっともらしく地磁気を説明しているように思いますが、まだまだ未解明なことも多い分野です。なにせ地球のなかを掘り進んで調べるわけにもいきませんからね。

左が太陽のある方向。地磁気(緑線)が太陽からやってくる太陽風(ピンク矢印)とぶつかることで、
地球を守っている。しかし、一部の太陽風は地磁気に沿って、地球のすぐ近くまで侵入してしまう(オレンジ矢印)



スポンサードリンク

オーロラの物理学、太陽の脅威に対抗する地磁気

太陽は朝になれば地平線から昇り、夜になればまた地平線へと沈んでいきます。それだけ身近に存在するものですが、かなりの暴れん坊さんなのはご存知でしょうか。なにせ1億5千万kmも離れたところから、我々の住む地球に強烈な光をぶつけてくるようなやつです、人間の手に負える代物ではありません。それだけではありません。太陽は『太陽風』と呼ばれる、電気を帯びた超音速の風を常に周囲に撒き散らしています。
そんな脅威にさらされて地球は大丈夫なのでしょうか。そこで登場するのが地磁気です。電気を帯びた風は下図のように、地磁気と接触して地球から逸れていきます。
地球が地磁気を持っていなければ、地球は太陽風にやられて、人類など到底存在することはなかったでしょう。

これで太陽風の脅威からは逃れることができた…と思った方、上図をよく見てください。実は北極付近と南極付近に、地磁気バリアのない侵入ルートがあるではないですか。これでは地磁気という壁にぶつかって、速度を落とした太陽風のザコが、壁に沿って入ってきてしまいますね。

オーロラの物理学、電気を帯びた風に対抗する地球大気

地磁気にぶつかって失速したとはいえ、電気を帯びて太陽から飛来した風です。これだけでも地球に生命は誕生できません。そこで出てくるのが、我々が常日頃から生命維持活動に使っている地球の空気です。宇宙空間からやってくる電気を帯びた風と、地球の空気がぶつかります。すると空気がこの風の速度をクッションのように吸収します。これで太陽風はただの風になりました。では吸収した分の速度(運動エネルギー)はどうなるのか…これがオーロラの正体。貯め込まれたエネルギーを光という形に変えて、エネルギーを放出し、完全に無害なものするのです。北極・南極付近から侵入してくる太陽風を地球大気が受け止めて発光するのです。オーロラが北極と南極付近に現れるのはこのためです。

左から順に、太陽から来た粒子と大気粒子との反応の様子。

地球以外のオーロラ

これまでの話をまとめると、オーロラが出現する条件は1. 地球のように惑星が巨大磁石になっていること、2. 電気を帯びた風とぶつかるための大気が(少しでもいいから)存在すること、です。そんな惑星あるのでしょうか、ありますとも。下図は木星と土星のオーロラの様子です。ハッブル宇宙望遠鏡がその姿を捉えています(画像はハッブル宇宙望遠鏡公式ウェブサイト,http://www.hubblesite.orgより引用しました)。

左が木星のオーロラ、右が土星のオーロラ。



スポンサードリンク

記事が役に立ったらシェア!

Black Holes -光すら飲み込む宇宙の穴-

ブラックホール VS. 光の速度

ブラックホールはアメリカの物理学者のジョン・ホイーラー (John Archibald Wheeler) が 1967 年に名付けたとされています。その全容は未だ解明されていませんが、宇宙には多数存在すると言われています。”言われています”と表現させていただいたのは、だれもその姿を見たことがないからです。なぜその姿が見えないのか、それを考えてみましょう。我々が夜空に浮かぶ星々を見ることができるのは、宇宙空間にある星からの光がヒトの目に飛び込んでくるからです。地球からロケットが脱出していくように、星の表面から出た光が、その星の重力を振り切り宇宙空間へと脱出し、地球まで遠路はるばるお越しになっているのです。

ではブラックホールの場合はどうでしょう。ブラックホールはとてつもない重力を持ち、その近くにある物質全てを飲み込みます。ブラックホールの表面から光が出発したとしましょう。さて、光はブラックホールの重力を振り切って脱出できるでしょうか… 答えは NO です。光の速度を持ってしてもブラックホールの重力を振り切ることはできず、ブラックホールへと引き返していくことになります。他の星々と違い、光が抜け出して地球にやってくることは不可能ですから、ヒトの目にその姿が写ることはありません。

上図: 普通の星の表面から出た光がヒトの目に到達する様子
下図: ブラックホール付近から出た光はヒトの目には到達しない



スポンサードリンク

ブラックホールの半径を計算してみよう

「そんな簡単に計算できるの?」と思う方もいるでしょう。しかし、高校で習う物理・力学の第二宇宙速度を求めるための公式(エネルギー保存則)を使えば、ブラックホールの半径を算出できます。これまでの説明から、光の速度=ブラックホールから脱出するための速度となるような半径を計算してやればよいのです。質量\(m\)の質点が光速度\(c\)で、半径\(r_g\)で質量\(M\)のブラックホール表面から真上に向かって飛び立ったとしましょう。公式から

\begin{eqnarray}
\frac{1}{2} m c^2
– G \frac{m M}{r_g}
=0
\label{escapevel}
\end{eqnarray}

ここで\(G\)は万有引力定数です。この式から\(r_g=2GM/c^2\)と計算できますね。なんとブラックホールを語る上で欠かすことのできない相対性理論を無視して、こんな大雑把な計算からブラックホールの半径が導出できてしまいました。なんの偶然か、相対性理論による厳密な計算を行っても、同じ結果を得ることができます。この\(r_g\)を、アインシュタインの一般相対性理論から導出した研究者の名前から、シュバルツシルト半径(Schwarzschild radius)と呼びます。非常に残念なことに、カール・シュバルツシルト(Karl Schwarzschild)は1915年にこれを発見したその4ヶ月後に病気で死去しています。

ちなみに、我々の身近に存在する太陽がブラックホールになった場合、その半径はどれくらいでしょうか。\(M=2.0\times10^{33}[g], G=6.7\times10^{-8}[\mathrm{cm^3/s^2g}]\), \(c=3.0\times10^{10} \)[cm/s]を代入してやりましょう。その大きさなんと\(r_g=3.0\times 10^5 \)[cm]= 3[km]です。大体、東京駅から上野駅の距離ですね。我々が住む地球を引っ張り続けている、その太陽をここまで凝縮してようやくブラックホールを作り出すことができるのです。



スポンサードリンク

記事が役に立ったらシェア!

殴って敵を地球一周させるのに必要な速度について

最近漫画で、殴って敵を地球一周させるの流行ってるけど速度どれくらいなの?

某グルメ漫画で、最近目にした光景です。主人公のと○こが覚醒し、殴りで敵を地球一周させるという荒技。

一周して帰ってきた敵を片手で止める典型例

人工衛星やんww

冷静に考えましょう。どんなに肩の強いメジャーリーガーが投げてもボールはせいぜい百メートルしか飛ばず、やがて地面に落ちます。

じゃあ、なぜ人工衛星は落ちずに地球上空を回ってるの?

人工衛星は地球の重力の影響をもちろん受けています。ではなぜ落ちないか?

物体には万有引力が働く。

地球上空を周回している人工衛星には地球からの重力(万有引力)を受けます。(下図参照)そして円運動している物体には
遠心力が働きますよね。ジェットコースターに乗った時にカバンが外に放り出されないのはこのためです。

この二つが釣り合う速度になるように人工衛星を投げれば(発射されれば)、人工衛星は我々が投げるボールのように地面に落ちずに回っていられるのです。



スポンサードリンク

具体的にどれくらいの速度でなげれば良いのか?

人工衛星の場合は「投げる」ではなく、正確には「発射される」ですかねww。

先ほどの図に力を書き込みました。後は教科書通りなのであまり詳しい話はしませんが、
この力の釣り合いから発射速度 \(v\)を求めると

\begin{equation}
v = \sqrt{\frac{GM}{R}} = 7.91\mathrm{[km/s]}
\end{equation}

となります。ようするに自分が蹴ったサッカーボールを地球一周させたいなって思った時は、その速度で飛ぶようにボールをければ良いのです。まあボールが
耐えきれずに蹴った瞬間破裂しますがwwとりあえず今回言いたかったのは漫画のシーンも、このように疑問をもてば実際の物理現象となぞらえてまた違った見方ができるんだよ!
ということです。ドラゴンボ○ルのかめは○波のエネルギーとかも地球が壊れるエネルギーや悟○の戦闘力から計算できるかもしれないですね。以上!



スポンサードリンク

記事が役に立ったらシェア!

熱力学第0法則って知ってる?~友達にドヤれるシリーズ~

熱力学第0法則とは?

最初に定義から入ります。 物体Aと物体Bが熱平衡にあり, 同じ状態のAと別の物体のCがまた熱平衡にあるならば, BとCを接触させても熱平衡
が保たれ変化は生じない。

文章で書かれてもイメージできないですね。以下に概念図を示します。最初, 物体Aは物体Bよりも温度が高いとします(T(A)>T(B))。熱は温度が高い方から低い方へ移動するので、AからBへ熱は移動します。
T(A) = T(B)となるとこれ以上熱は移動しません。これが「熱平衡」という状態です。

 

熱平衡の概念図



スポンサードリンク

話を元に戻しましょう。定義通り, 物体Cを考えます。(物体Aと物体B)の時と同様に考えます。AとCが熱平衡なら下の図のようになりますね。

熱平衡の概念図

ここで, 定義をよく思い出しましょう。『物体Aと物体Bが熱平衡にあり, 同じ状態のAと別の物体のCがまた熱平衡にあるならば』とあります。
要するに、(物体Aと物体Cの説明で用いた物体A)と、先ほどの(物体Aと物体Bの説明で用いた物体A)は全く同じものということです。物体Aが同じなら, 当然下の図も成り立ちますよね。

                          
熱平衡の概念図

なので熱平衡同士のBとCを接触させても変化なし=熱平衡ですよ っていうのが、熱力学第0法則です。え?これだけ?って思うかもしれないですがこれだけです。
熱力学第0法則は教科書に書かれてはいますが、あまり授業では取り扱われません。なぜなら、当たり前すぎて説明するのが難しい、というか説明しようとすると逆にわからなくなる
ものだからです。

 

しかしこの当たり前すぎる法則が成り立たないと、温度計で計測した温度が実際の温度と違う!!なんてことになってしまいます。熱力学第0法則がないとそもそも温度が定義できません。
この法則を知らなくても東大には受かるでしょうが、当たり前のことだからこそ大切なことがある、というのも物理や数学の世界にはたくさんあるということを知ってくれれば嬉しいです。



スポンサードリンク

記事が役に立ったらシェア!