Aurora -オーロラ、惑星を守る鉄壁の物理学-

方位磁針の原理の復習

方位磁針は、昔の中国に使われていた指南魚と呼ばれるものが原型になったとされています。棒磁石を魚の形をした木に埋め込んで、それを水に浮かべて、南の方向を調べていたようです。それから改良が進み、ヨーロッパの大航海時代の幕開けに大貢献しました。

歴史の話はここまでにして、では方位磁針はどのような原理でできているのでしょうか。この装置の中に入っている磁石は地球上の大部分の場所で、ちゃんと北と南を示すことができます。どんなに振動を加えて針を揺らすイジワルをしても、しばらくすれば必ずと言っていいほど同じ方向を指し示すでしょう。
磁石が向きを変えるということは、磁石に力が働いているということ。つまり地球上に張り巡らされている『正体不明の磁力線』に反応して、方位磁針は決まった方向を向くようにできているのです。

地球が持つ磁力線(緑矢印)と地球表面上で方位磁針を使ったときの様子。

母なる地球は超巨大電磁石?

結論からいうと、その正体不明の磁力線とやらは、地球が自分の中で作り出したものです。我々が立っている地球表面は固い地面に覆われていますが、実は地球の内部にはマントルと呼ばれる液体がドロドロと流れているとされています。
そのドロドロのマントルが動き回ると、電気が発生し、それが地磁気(地球の磁界)のもととなっているのです。このメカニズムはもっともらしく地磁気を説明しているように思いますが、まだまだ未解明なことも多い分野です。なにせ地球のなかを掘り進んで調べるわけにもいきませんからね。

左が太陽のある方向。地磁気(緑線)が太陽からやってくる太陽風(ピンク矢印)とぶつかることで、
地球を守っている。しかし、一部の太陽風は地磁気に沿って、地球のすぐ近くまで侵入してしまう(オレンジ矢印)



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オーロラの物理学、太陽の脅威に対抗する地磁気

太陽は朝になれば地平線から昇り、夜になればまた地平線へと沈んでいきます。それだけ身近に存在するものですが、かなりの暴れん坊さんなのはご存知でしょうか。なにせ1億5千万kmも離れたところから、我々の住む地球に強烈な光をぶつけてくるようなやつです、人間の手に負える代物ではありません。それだけではありません。太陽は『太陽風』と呼ばれる、電気を帯びた超音速の風を常に周囲に撒き散らしています。
そんな脅威にさらされて地球は大丈夫なのでしょうか。そこで登場するのが地磁気です。電気を帯びた風は下図のように、地磁気と接触して地球から逸れていきます。
地球が地磁気を持っていなければ、地球は太陽風にやられて、人類など到底存在することはなかったでしょう。

これで太陽風の脅威からは逃れることができた…と思った方、上図をよく見てください。実は北極付近と南極付近に、地磁気バリアのない侵入ルートがあるではないですか。これでは地磁気という壁にぶつかって、速度を落とした太陽風のザコが、壁に沿って入ってきてしまいますね。

オーロラの物理学、電気を帯びた風に対抗する地球大気

地磁気にぶつかって失速したとはいえ、電気を帯びて太陽から飛来した風です。これだけでも地球に生命は誕生できません。そこで出てくるのが、我々が常日頃から生命維持活動に使っている地球の空気です。宇宙空間からやってくる電気を帯びた風と、地球の空気がぶつかります。すると空気がこの風の速度をクッションのように吸収します。これで太陽風はただの風になりました。では吸収した分の速度(運動エネルギー)はどうなるのか…これがオーロラの正体。貯め込まれたエネルギーを光という形に変えて、エネルギーを放出し、完全に無害なものするのです。北極・南極付近から侵入してくる太陽風を地球大気が受け止めて発光するのです。オーロラが北極と南極付近に現れるのはこのためです。

左から順に、太陽から来た粒子と大気粒子との反応の様子。

地球以外のオーロラ

これまでの話をまとめると、オーロラが出現する条件は1. 地球のように惑星が巨大磁石になっていること、2. 電気を帯びた風とぶつかるための大気が(少しでもいいから)存在すること、です。そんな惑星あるのでしょうか、ありますとも。下図は木星と土星のオーロラの様子です。ハッブル宇宙望遠鏡がその姿を捉えています(画像はハッブル宇宙望遠鏡公式ウェブサイト,http://www.hubblesite.orgより引用しました)。

左が木星のオーロラ、右が土星のオーロラ。



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一枚の紙をひたすら折り曲げると…

今回は指数関数の増加率について述べます。なんで指数関数の増加率について、注目するのかは、この記事を読み終える頃には理解していただけるかと思います。

ステップ1 紙の厚みを仮定する。

まず、最初に一枚の紙の厚さを仮定しましょう。ここでは、0.1mmとしましょう。通常の定規の細かい目盛り間の\(\frac{1}{10}\)です。
まぁ、こんなもんでしょう。正直、今回の主目的である、「指数関数の増加率」を述べるにあたり、一枚の紙(初期値)はどうでも良いです。そんなに影響しないことがすぐにわかります。

 

ステップ2 さっそく折りましょう。

一回おります。そうすると、一枚の髪が重なり、2枚になるのでこの時の厚み\(t\)は、
\begin{eqnarray}
t = 0.1 × 2 = 0.2\mathrm{[mm]}
\end{eqnarray}

となります。もう一回折りましょう。そうすると、2枚の紙にさらにもう2枚分、厚みが追加されるので、
\begin{eqnarray}
t = 0.1 × 2 + 0.1 + 0.1 &=& 0.1 × 2 × 2\\&=& 0.4\mathrm{[mm]}\\&=& 0.1 × \underline{2^{2}}\mathrm{[mm]}
\end{eqnarray}

となります。さらにもう一回。
\begin{eqnarray}
t = 0.4 + 0.4 = 0.1 × 2 × 2 × 2 &=& 0.8\mathrm{[mm]}\\&=& 0.1 × \underline{2^{3}}\mathrm{[mm]}
\end{eqnarray}

もういっちょ!
\begin{eqnarray}
t = 0.8 + 0.8 &=& 0.1 × 2 × 2 × 2 + 0.1 × 2 × 2 × 2 \\&=& 1.6 \mathrm{[mm]} \\&=& 0.1 × \underline{2^{4}}\mathrm{[mm]}
\end{eqnarray}

と後は規則的に厚みが増加していくのがわかると思います。
増加の傾向を理解するため、グラフにして見ました。



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10回折った時の厚みと、先ほどまでの4回折った時の数値を比較しましょう。折った回数はたったの6回しか変わらないのに、厚みはかなり差がひらいてます。10回折ると、厚みは\(100\mathrm{[mm]} = 10\mathrm{[cm]}\)を超えてきますね。
これが指数関数の面白いとこであり、怖いところでもあります。この指数関数的増加は自然界でも見られます。細菌の増加率も指数関数的に増加するので、半日服を放置するのと、1日服を放置するのでは、細菌の数は倍どころか、すさまじいほど増殖します。時間がたつほど、増加率は大きくなるので、細菌の場合では、1日目と2日目の差よりも2日目と3日目の差の方が格段に大きくなります。ここが、人間が指数関数のデータを扱う時に錯覚しやすいところで、間隔は同じ1日でもその差は同じとか、比例とか単純な話ではないことに注意しましょう。話を戻します。一枚の紙を50回おったときの厚みはいくつになるでしょう。式に当てはめると
\begin{eqnarray}
t &=& 0.1 × \underline{2^{50}}\mathrm{[mm]}\\& = &1125899906842624\mathrm{[mm]} \\ &\simeq& 11億 \mathrm{[km]}
\end{eqnarray}
となります。これは、市販の電卓の計算領域をよゆーで超えます笑。木星まで到達する距離です笑。たった50回で?って思った人は、指数関数が見せる錯覚に陥っています。確認のため、50回折った時のグラフも表示します。 10回折った頃の厚みが小さすぎて、0に見えますね。x軸を0〜12にすれば、先ほどの図になります。

ついでに、49回の時点で地球から火星までの距離を超えています。1回目と2回目では、その差は0.1mmしか変わらないのに、49回と50回目では、その差は5億キロ程になります。折った回数はたった一回でも、見る回数によって、差が大きく異なるのが特徴です。

今回は指数関数の増加率について、述べました。なぜこのテーマで記事を書いたのか、理解してもらえたかと思います。
人間の直感が自然科学では通用しないこともある、というのを感じくれたら幸いです。



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タレスの定理




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タレスの定理とは?

タレスの定理とは、円の直径を斜辺とする三角形は直角三角形である。つまり直径の円周角は直角になるというもの。
ここでは、円周角の定理は使わずに幾何学的に証明しようと思います。難しい計算はなく、文字式と方程式が解ければ理解できると思います。

証明

以下に図を示します。

三角形OAC、OBCに注目すると、
\begin{eqnarray}
∠p + ∠q = θ  ,  ∠s + ∠r = θ’ = \pi – θ
\end{eqnarray}
三角形OAC、OBCは二等辺三角形であるから、
\begin{eqnarray}
∠p = ∠q  ,  ∠s = ∠r
\end{eqnarray}
よって
\begin{eqnarray}
θ + θ’ = \pi = 2 ∠q + 2 ∠r = 2(∠q + ∠r) ⇄ \frac{\pi}{2} = ∠q + ∠r
\end{eqnarray}
よって、∠Cは直角となり証明された。

以上、タレスの定理の証明でした。教科書では定理として当たり前に書いてある公式も、基本の計算ができればすぐに導けるのも多いです。
公式を覚えるだけでなく、導出する楽しさを感じてくれたらと思います。

 

参考文献:
スティーブン・ワインバーグ (2016)『科学の発見』 文藝春秋



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モンティ・ホール問題

モンティ・ホール問題

モンティ・ホールとは、海外のクイズ番組の元司会者である。この問題は直感的な答えと実際の答えが異なる、確率事象の良い例である。この問題が出回った当時は、正解を出したIQ225のマリリン・ボス・サバントが博士号取得者を含む、1万人近い人から投書が殺到し問題になった。
以下に問題の手順を示す。

  1. ある人が3つの扉から一つの扉を選択する。一つの扉は当たりで、二つの扉は外れである(実際には、高級車とかヤギが使われている)。
  2. 司会者は、ある人が選んでいない残りの二つの扉のうち、ハズレの扉を開ける。なお、司会者はどの扉が当たりで、どの扉がはずれかが分かっている。
  3. その後、司会者はある人に「扉を選択した扉を、今のままにするか?それとも、残りの一つの扉に変更するか?」と聞く。
    以上がこのモンティ・ホール問題の手順である。文章だけではイメージしづらいので、以下に図を示す。

    手順



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解説

どうだろうか?直感的には扉を変更しようがしまいが、確率は\(\frac{1}{2}\) で変わらないだろうと考えがちです。答えは「変更した後の確率は\(\frac{2}{3}\)で、変更しないと当たる確率は\(\frac{1}{3}\)」となります。よって選択した扉を変更した方が、良いということになります。
ここでは私自身の見解を述べていきますので、説明が気に食わない人はぜひ他のサイトを参考にしてください。本質的には変わらないはずです。
注目すべきは、当たりとハズレは表裏の関係にあるということです。ハズレの確率を考えていきましょう。
手順1の時点で「A」がハズレの確率は\(\frac{2}{3}\)ですよね。手順2の後も、これは変わりませんね。司会者がする作業と扉「A」は独立した関係にありますので。
次に扉「C」に注目します。手順1の時点で「C」がハズレの確率はA同様、\(\frac{2}{3}\)ですよね。手順2の後は、どうでしょうか?司会者は「B」「C」からハズレの扉を選択するので、扉「C」と司会者の作業は、独立していません(従属関係)。これを踏まえると、手順2の後の「C」がハズレの確率は、二つの扉から一つの扉を選択する確率\(\frac{1}{2}\)をかけて、
\begin{eqnarray}
Q(C) =
\frac{2}{3} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{3}
\end{eqnarray}
となります。
扉「A」「C」の当たりの確率は、ハズレの確率の余事象なので、1 – ハズレの確率 で求まりますよね。よってそれぞれの扉の当たりの確率をP(A),P(C)とすると\begin{eqnarray}
P(A) =
1 – \frac{2}{3} = \frac{1}{3}
,
P(C) =
1 – \frac{1}{3} = \frac{2}{3}
\end{eqnarray}
となります。当たりの確率に注目すると、一見変わっていないような錯覚に陥りますが、当たりを考える = ハズレを考える ということを忘れてはいけません。冷静に考えて、どれが当たりでどれがハズレかが分かっている司会者が、ハズレの扉を公開しているのに、ハズレの確率がどちらも一緒(\(\frac{1}{2}\))なんてそちらの方が直感的に違和感がありますよね。私が以上に説明した以外にも、面白い解説をしている方はいっぱいいるので、そちらも参考にしてみてください。友達や学校の先生にぜひ、この問題を出してみてください。きっと驚くでしょう。

 

参考文献:
リチャード・エルウィス (2016)『マスペディア 1000』 株式会社 ディカヴァー・トゥエンティワン



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ボルテックスジェネレータ-身近に応用されている流体力学-

ボルテックスジェネレータとは?

ボルテックスジェネレータとは、空気の流れの境界剥離(空気が翼などの構造体から、離れること)を防ぐために意図的に、乱流状態にするために翼などに設置されている突起物のことである。これにより翼面では常時、乱流境界層に保たれる。

境界層剥離は失速の原因になるため、航空機の翼設計において重要な現象である。

乱流境界層におけるエネルギー輸送

 



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実用例

ここでは、趣旨からずれるので理論的な背景については述べず、実用例を紹介していきたいと思います。

ボルテックスジェネレーターの例1(引用元:http://sigma-speed.co.jp/mt/shop/shosai.php?keyno=1289026737)
ボルテックスジェネレーターの例2(引用元:http://minkara.carview.co.jp/userid/1862389/car/1388071/2429484/2/note.aspx)
ボルテックスジェネレーターの例3(引用元:https://japaneseclass.jp/trends/about/ボルテックスジェネレーター)

以上、ボルテックスジェネレータについて紹介しました。このように学術知識が、日常に応用されている例を探してみるのもオススメします。

参考文献:
伊藤 英覚、本田 睦(2013)『流体力学』 丸善出版



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機械学習-人工知能への入り口-

機械学習とは?

機械学習とは、与えられた大量のデータが「何を意味しているのか?」というのを導くのと同時に、それに必要な予測モデルを構築するのに最適な手法も自分で用意し、次に何をすれば良いかなどの決断も勝手にしてくれるような、機械の挙動である。
機械学習がなければ、大量の統計データ(人が直感的に扱えないくらいの膨大な量のデータ)を時間をかけて統計処理し、次に事象を予測するモデルを人間が構築することになる。 身の回りに使われている物には
・Gメール等のスパムフィルタ
・Siri等の音声認識ソフトウェア
・Google等のweb検索エンジン
がある。もちろん自動運転にも機械学習は用いられている。

 



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機械学習の種類

機械学習と言っても多くの種類が存在します。以下では代表的な機械学習のシステムについて、説明していきます。
1 強化学習
心理学分野における、生物の学習方法を応用したもの。生物の個体が環境との相互作用によって知識を獲得することをモデル化している。このモデルでは、生物が環境に適合していると「報酬」を得ることができ、生物は報酬を得ると次以降の行動にその良い経験を反映させます(飼い主にお手をすると、頭を撫でられ餌をもらえるようになる犬のイメージ)。犬はお手をすることで、報酬がもらえるので、次以降の環境(飼い主が手を出してくる状況)に適応していきますね。

強化学習のモデル

2 教示学習
教え示された知識に基づいて、学習を進める方法。学校で先生に教えてもらうと、効率的かつ精密ですが、教えられたことしか出来ず、自分で考える力はあまり鍛えられないのと同じで、教示学習では学習データに現れないような状況に対応することが困難である。そして教師学習と対をなすのが教師なし学習である。これは個々のデータの情報は与えられず、学習方法や学習モデルしか与えられないので、現実の勉強と同じで、時間はかかります。粘り強くデータを与え続ければ、どんな複雑かつ不規則なデータが来ても対応できるような人工知能になる可能性は秘めています。

3 ニューラルネットワーク
生物の神経組織の挙動をモデルにして情報処理を行う仕組み。生物の神経細胞は他の神経細胞から受け取った情報を処理し、また別の神経細胞に伝える。さらに神経細胞同士の接続は一様ではなく、機能も一定ではありません。機械学習における、ニューラルネットワークは神経細胞を模倣したセルと、そのセルの結合から構成される。一般的にはこれらは層構造になっていて、パーセプロトンと呼ばれてます。

強化学習のモデル

パーセプトロンは入力信号を受け取る刺激層、結果を出力する応答層、刺激層と応答層の中間にある連想層からなります。初期のパーセプトロンでは刺激層と連想層の結合の強さは結合荷重で定義され、これはどのくらいの入力がセルに与えられたら次のセルに入力を与えるかを決めるしきい値がランダムに与えられます。これに対し連想層と応答層の結合は、ある入力に対して適切な出力が得られるように機械学習により決定されます。

以上、本稿では強化学習についてざっくりと述べました。理論的な背景などには全く触れていないので、本稿がきっかけで皆さんが機械学習の背景を自習してくれたらうれしいです。上記以外にも、強化学習には遺伝的アルゴリズム,データマイニングもあるので勉強してみてください。

参考文献:
小高 知宏 (2011)『初めての機械学習』 オーム社
Sebastian Raschka (2016)『Python 機械学習プログラミング』 株式会社インプレス



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Black Holes -光すら飲み込む宇宙の穴-

ブラックホール VS. 光の速度

ブラックホールはアメリカの物理学者のジョン・ホイーラー (John Archibald Wheeler) が 1967 年に名付けたとされています。その全容は未だ解明されていませんが、宇宙には多数存在すると言われています。”言われています”と表現させていただいたのは、だれもその姿を見たことがないからです。なぜその姿が見えないのか、それを考えてみましょう。我々が夜空に浮かぶ星々を見ることができるのは、宇宙空間にある星からの光がヒトの目に飛び込んでくるからです。地球からロケットが脱出していくように、星の表面から出た光が、その星の重力を振り切り宇宙空間へと脱出し、地球まで遠路はるばるお越しになっているのです。

ではブラックホールの場合はどうでしょう。ブラックホールはとてつもない重力を持ち、その近くにある物質全てを飲み込みます。ブラックホールの表面から光が出発したとしましょう。さて、光はブラックホールの重力を振り切って脱出できるでしょうか… 答えは NO です。光の速度を持ってしてもブラックホールの重力を振り切ることはできず、ブラックホールへと引き返していくことになります。他の星々と違い、光が抜け出して地球にやってくることは不可能ですから、ヒトの目にその姿が写ることはありません。

上図: 普通の星の表面から出た光がヒトの目に到達する様子
下図: ブラックホール付近から出た光はヒトの目には到達しない



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ブラックホールの半径を計算してみよう

「そんな簡単に計算できるの?」と思う方もいるでしょう。しかし、高校で習う物理・力学の第二宇宙速度を求めるための公式(エネルギー保存則)を使えば、ブラックホールの半径を算出できます。これまでの説明から、光の速度=ブラックホールから脱出するための速度となるような半径を計算してやればよいのです。質量\(m\)の質点が光速度\(c\)で、半径\(r_g\)で質量\(M\)のブラックホール表面から真上に向かって飛び立ったとしましょう。公式から

\begin{eqnarray}
\frac{1}{2} m c^2
– G \frac{m M}{r_g}
=0
\label{escapevel}
\end{eqnarray}

ここで\(G\)は万有引力定数です。この式から\(r_g=2GM/c^2\)と計算できますね。なんとブラックホールを語る上で欠かすことのできない相対性理論を無視して、こんな大雑把な計算からブラックホールの半径が導出できてしまいました。なんの偶然か、相対性理論による厳密な計算を行っても、同じ結果を得ることができます。この\(r_g\)を、アインシュタインの一般相対性理論から導出した研究者の名前から、シュバルツシルト半径(Schwarzschild radius)と呼びます。非常に残念なことに、カール・シュバルツシルト(Karl Schwarzschild)は1915年にこれを発見したその4ヶ月後に病気で死去しています。

ちなみに、我々の身近に存在する太陽がブラックホールになった場合、その半径はどれくらいでしょうか。\(M=2.0\times10^{33}[g], G=6.7\times10^{-8}[\mathrm{cm^3/s^2g}]\), \(c=3.0\times10^{10} \)[cm/s]を代入してやりましょう。その大きさなんと\(r_g=3.0\times 10^5 \)[cm]= 3[km]です。大体、東京駅から上野駅の距離ですね。我々が住む地球を引っ張り続けている、その太陽をここまで凝縮してようやくブラックホールを作り出すことができるのです。



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殴って敵を地球一周させるのに必要な速度について

最近漫画で、殴って敵を地球一周させるの流行ってるけど速度どれくらいなの?

某グルメ漫画で、最近目にした光景です。主人公のと○こが覚醒し、殴りで敵を地球一周させるという荒技。

一周して帰ってきた敵を片手で止める典型例

人工衛星やんww

冷静に考えましょう。どんなに肩の強いメジャーリーガーが投げてもボールはせいぜい百メートルしか飛ばず、やがて地面に落ちます。

じゃあ、なぜ人工衛星は落ちずに地球上空を回ってるの?

人工衛星は地球の重力の影響をもちろん受けています。ではなぜ落ちないか?

物体には万有引力が働く。

地球上空を周回している人工衛星には地球からの重力(万有引力)を受けます。(下図参照)そして円運動している物体には
遠心力が働きますよね。ジェットコースターに乗った時にカバンが外に放り出されないのはこのためです。

この二つが釣り合う速度になるように人工衛星を投げれば(発射されれば)、人工衛星は我々が投げるボールのように地面に落ちずに回っていられるのです。



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具体的にどれくらいの速度でなげれば良いのか?

人工衛星の場合は「投げる」ではなく、正確には「発射される」ですかねww。

先ほどの図に力を書き込みました。後は教科書通りなのであまり詳しい話はしませんが、
この力の釣り合いから発射速度 \(v\)を求めると

\begin{equation}
v = \sqrt{\frac{GM}{R}} = 7.91\mathrm{[km/s]}
\end{equation}

となります。ようするに自分が蹴ったサッカーボールを地球一周させたいなって思った時は、その速度で飛ぶようにボールをければ良いのです。まあボールが
耐えきれずに蹴った瞬間破裂しますがwwとりあえず今回言いたかったのは漫画のシーンも、このように疑問をもてば実際の物理現象となぞらえてまた違った見方ができるんだよ!
ということです。ドラゴンボ○ルのかめは○波のエネルギーとかも地球が壊れるエネルギーや悟○の戦闘力から計算できるかもしれないですね。以上!



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熱力学第0法則って知ってる?~友達にドヤれるシリーズ~

熱力学第0法則とは?

最初に定義から入ります。 物体Aと物体Bが熱平衡にあり, 同じ状態のAと別の物体のCがまた熱平衡にあるならば, BとCを接触させても熱平衡
が保たれ変化は生じない。

文章で書かれてもイメージできないですね。以下に概念図を示します。最初, 物体Aは物体Bよりも温度が高いとします(T(A)>T(B))。熱は温度が高い方から低い方へ移動するので、AからBへ熱は移動します。
T(A) = T(B)となるとこれ以上熱は移動しません。これが「熱平衡」という状態です。

 

熱平衡の概念図



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話を元に戻しましょう。定義通り, 物体Cを考えます。(物体Aと物体B)の時と同様に考えます。AとCが熱平衡なら下の図のようになりますね。

熱平衡の概念図

ここで, 定義をよく思い出しましょう。『物体Aと物体Bが熱平衡にあり, 同じ状態のAと別の物体のCがまた熱平衡にあるならば』とあります。
要するに、(物体Aと物体Cの説明で用いた物体A)と、先ほどの(物体Aと物体Bの説明で用いた物体A)は全く同じものということです。物体Aが同じなら, 当然下の図も成り立ちますよね。

                          
熱平衡の概念図

なので熱平衡同士のBとCを接触させても変化なし=熱平衡ですよ っていうのが、熱力学第0法則です。え?これだけ?って思うかもしれないですがこれだけです。
熱力学第0法則は教科書に書かれてはいますが、あまり授業では取り扱われません。なぜなら、当たり前すぎて説明するのが難しい、というか説明しようとすると逆にわからなくなる
ものだからです。

 

しかしこの当たり前すぎる法則が成り立たないと、温度計で計測した温度が実際の温度と違う!!なんてことになってしまいます。熱力学第0法則がないとそもそも温度が定義できません。
この法則を知らなくても東大には受かるでしょうが、当たり前のことだからこそ大切なことがある、というのも物理や数学の世界にはたくさんあるということを知ってくれれば嬉しいです。



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黄金比って一体何?~自然界で最も美しい比について~

黄金比とは?

黄金比とは自然界で最も美しいとされる比のことであり、定義は\( 1 : \frac{1 + \sqrt[]{\mathstrut 5}}{2} = 1 : 1.618… \)である。黄金比はその性質から、特にデザインの観点で優れており身近なところに潜んでいる。
例えばこの記事の画像である’ウィトルウィウス的人体図’、Appleのロゴマーク、モナリザなどにも取り入れられている。
Appleのロゴマーク (http://dailynewsagency.com/2011/08/30/fibonacci-e-a-apple/から引用)

ここで、上の図の左側の円の中に書かれている数字に注目していただきたい。これは面積1の円を基準とし、その円の接線とその円に接するように面積2の円を描く。そして先ほど同様、面積2の円の接線と面積2の円に接するように面積3の円を描いていく。これを以後繰り替えしていくわけだが、描く円の面積に規則があることが理解できるだろうか。円の面積を書き出してみると、
\[
1  2  3  5  8  13  ・・・・・・
\]
これはフィボナッチ数列と呼ばれるもので、任意の第n項はn-1項とn-2項の和で表される(第n項 = n-1項 + n-2項)というものである。



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フィボナッチ数列と黄金比の関係

このフィボナッチ数列のある項の数字をその前の項の数字で割ってみてほしい。簡単のため、最初からやってみると
\[
\frac{2}{1} \hskip1em \frac{3}{2} \hskip1em \frac{5}{3} \hskip1em \frac{8}{5} \hskip1em \frac{13}{8} \hskip1em \frac{21}{13} ・・・・・・・
\]
書き直すと
\[
2 \hskip1em 1.5 \hskip1em 1.666 \hskip1em 1.6 \hskip1em 1.625 \hskip1em 1.6153846 ・・・・・・・
\]
ある値に近づいていっているのがわかると思います(笑)。念のためもう少しやります。
\[
\frac{34}{21} = 1.6190 \hskip1em \frac{55}{34} = 1.61764 \hskip1em \frac{89}{55} = 1.6181818 ・・・・・・・
\]

だんだんと最初に説明した黄金比に収束(近づいている)のがわかりますね。これを無限に繰り返す(n →\(\infty\))と黄金比に近づきます。黄金比は無理数なのでnを無限に増やさないとダメです。
1000000000回上記の作業を繰り返そうとも限りなく近くなるけど、完全に一致させることはできない、これが無理数の難しいところですね。

このように黄金比以外にも自然界には白銀比や、青銅比といった法則もあるみたいです。気になる人はぜひググってみてください!!


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